被相続人は本年3月、A(被相続人の妻)に対し100坪の土地を生前贈与しました。
しかし、被相続人が9月に死去してしまいました。ところが公正証書による遺言書が出てきました。内容はつぎの通りです。
Aに土地(上記土地のみ)及び預金、現金等を全て相続させるとあります。
Q1:他の相続人は遺留分としてこの土地の分を遺留分請求することができますか?なお、他の相続人は生前贈与されていたことを知りません。
Q2:被相続人の妻は、故人の資産状況や負債状況に関して開示してくれません。相続放棄の期間も迫ってきましたどうしたらよいでしょうか?
私の考えでは、家裁に調停申し立てを行い、資産、負債の状況がハッキリわかった時点で放棄するつもりでしたが、この事を裁判所で聞いたところ、調停中に放棄することはできないと言われました。本当でしょうか?
答え:
(1)遺留分は、「この土地に対して減殺する」として請求する必要はありません。
民法1028条以下の規定に従って、遺留分を侵されていると分かれば、ただ単に「遺留分を侵されているので、減殺を請求する」とすれば良いのです。そうすれば、遺贈・贈与の順で(1033条)、全遺産につき遺留分相当の持分が請求権者の固有資産として受遺・受贈者と共有になります。(下記1)
(但し、1041条。)
民法1030条前段により、土地は遺留分算定に当たって、持ち戻して計算すべき贈与に当たります。
贈与を知らなかった相続人については、1042条前段の「遺留分減殺請求の消滅時効」が起算しないだけです。
遺言中、「土地を相続させる」という部分は、1023条2項により、無効であり、土地は生前に「贈与」されています。
贈与の証拠が無いなら、贈与が認められないので、その場合は「相続」(法定相続分+遺贈)になります。
負債状況がうかがい知れない状況にあれば、後で負債の存在を知った時から3ヶ月間は相続放棄が出来るというのが判例です。(下記2・判例は、判決全文を必ず読む事。)
(2)何の調停をしようとしているのかが不明なので、回答不能です。
*各条文は、下記3から参照して下さい。
他は答える:
あなたの立場は「他の相続人」で良いですか?
A1.死亡の1年前までに贈与されたものですから、土地の価額は、遺留分計算の基礎になります(民法1030条)。
つまり、贈与がなかったとして請求できる価額を計算できます。
A2.遺留分を放棄するのなら、何も手続きしなければ済みます。遺留分を請求する調停をしつつ放棄する、ということはあり得ません。
遺留分を放棄して、他の財産について分割請求をする、というのなら別ですが。
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